 ウィーンの森 |
[ウィーンの森](半日観光)
「ウィーンの森」は、ウィーン市内の3倍の広さといわれる。いろいろな観光コースが設けられているが、私たちは修道院や名所旧跡のコースを選んだ。
静かな住宅街を抜けたところにあるベートーベンハウス「ハイリゲンシュタット遺書の家」に立ち寄った。そして、リヒテンシュタイン城を展望しながら、次はハイリゲンクロイツ修道院を見学した。
 ハイリゲンクロイツ修道院(シトー派) |
「ハイリゲンクロイツ修道院」(シトー派)は、ロマネスク時代に建造されたもので、当初は教義に基づいて造られ質素を旨としていた。しかし、ロマネスク、ゴシック、ルネッサンス、バロックと時代を経ていくうち、次第に華美になっていったといわれる。特に、教会の会長選挙が行われる部屋は美しく、円形のステンドグラス(約100年前に造られたもの)はひときわ目を引く。まさに森の中の聖なる美術品といったところである。
 カルメラカティ修道院(ウィーンの森) |
峠を越えると、カルメラカティ女子修道院に到着する。前のハイリゲンクロイツ修道院と同じく、質素を旨とし労働に勤しむことを教義としたといわれており、建物の造りも実に質素である。
この修道院を出てからは、しばらくの間バスは森の中を走り抜けていった。そして、やがてバスはバーデンの町に入った。
「バーデン」の町は高級温泉保養地であり、またアーチストの街でもある。かつては皇帝や王侯貴族、またモーツアルトなどたくさんのアーチストが訪れたところである。ベートーベンが「第九」を完成させたのもこの地で、その時滞在した家が現在でも残されているという。
 ラオエンシュタイン城 荒城の雄姿が美しい |
バーデンの街までは鉄道が入っており、ウィーンの中心部から約30分で到着する。
町のすぐ上、急峻な崖の上には「ラオエンシュタイン城」が荒城の雄姿を見せている。また、メイン通りを横断する石造りの水道橋も美しい。アルプスの水を遠くウィーンの町まで引いていた水道橋という。
 緑の美しいウィーン市内 |
バーデンの町を過ぎると、広大なぶどう園の続く農村地帯に出る。ワインの生産地で、この町のメイン通りはホイリゲ(ウィーン風居酒屋)が軒を連ねていた。店の入り口に飾られている松の枝は「自家製の新酒ができた」という目印だという。
昔は、ウィーンからたくさんの市民が自家用車でワインを飲みに来たという。最近では交通事故防止の観点から自家用車での飲酒は禁止されている。したがって、鉄道利用ということになるので、ずいぶん客数が減ってきたということである。
 国会議事堂 |
ウィーンの森からは、比較的はやい時間に帰ることができた。夕方の1時間ばかりの間、再びウィーンの旧市街地をリンク沿い(昔、城を敵から守るために敷設した大きな通り)を急ぎ足で散策した。国立オペラ座前から王宮庭園(ここにはモーツアルト像などがある)、勇士の広場、そして新旧の王宮、美術博物館、自然史博物館、さらに北に向かってギリシャ様式の国会議事堂、隣の市庁舎、そしてウィーン大学、ブルク劇場など、バロックの都、建築の都の展示場といっても過言ではない。とにかく、ウィーンの街を外観だけでもと駆け足で観光して回った。
夜は、ホイリゲでオペラを観賞しながら夕食の一時を過ごした。帰りはワインで心地よい気分に身を任せながら、ライトに映し出された観覧車などを遠望しホテルへ帰った。
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