昨夜のホテルは最悪であった。割り当てられたルームの状況もさることながら、喧騒で一晩中眠れなかった。 早朝、ホテルを出発し次の目的地シラクーサに向った。アグリジェントからシラクーサまでは、島内最大の山脈(標高1,000m弱)エンナの町を越えて行く。この地方はふだんでも雨の多い地方ということだった。出発から雨の中をバスは進んで行った。前日からのシロッコがバスの窓をつたって泥水となって流れ落ちてゆく。でも沿道は山頂まで牧草で覆われたやわらかく美しい緑の稜線や、黄色い花を一ぱいにつけた「ミモザ」(アカシアに似た花木)、白い「ニセアカシア」「ジャイアントフェネル」(花は菜の花のようで枝先きにボール状に花序をつける。葉はパセリーに似ている。)の花が旅の疲れの癒してくれる。(シチリア地方では、毎年5月20日は女神の祭日で、男性から女性に対し「ミモザ」の花束をプレゼントする習慣がある。) シラクーサでは、考古学地区を見学した。最初(1)天国の石切り場を見学した。「ディオニュシオスの耳」といわれる石切場の洞窟に行った。音響効果が素晴らしいので捕虜の収容所(密談が聞きとれる)として使われたところともいわれている。(2)ギリシャ劇場(紀元前5世紀頃のもの)直径130mで保存状態も良い。舞台、観客席ともに石灰岩を切り取り馬蹄形の劇場に仕上げられている。劇場の背後の丘にはギリシャ人たちのお墓の洞窟がある。死んだ後も観劇ができるようにとの意味だらしい。(3)石棺や、墳墓の跡と見られる「ヒエロン2世の祭壇」を通って、(4)古代ローマの円形闘技場に行った。剣闘士たちの登場口の通路、舞台下のカラクリの構造も見られる。また、観客席の所有者までも定めらていた表示の跡が見られる。最初は、猛獣との戦いであったが、次第に囚人と囚人を闘わせ楽しんだという悲惨な歴史がある。
午後は、タオルミーナに移動した。 タオルミーナは、エトナ山(標高3,340m)と壮大な海岸線をもつリゾート地帯である。町の入口でミニバスに乗り替えメッシーナ門まで登る。最初、ギリシャ劇場(紀元前3世紀に作られ、その後ローマ人により手を加えられたものという。)シチリアで2番目に大きい劇場に行った。背景は、紺碧の海とエトナ山が広がり、とても美しいところである。
次に、標高200mほどの山腹にできた、タオルミーナの町に行った。メイン道路が山腹を走っており、入口から先端まで1kmもないぐらいの小さな町である。ゴルヴァヤ館から4月9日広場、そしてドゥオモまで散策した。メイン通りの山側は上り階段、海側は下り階段で店舗や住宅が建ち並んでいた。
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