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8月 3日(月)
「リマ」(ペルーの首都)
8月 4日(火)
大統領官邸見学
8月 5日(水)
インカ族の歴史、文化の宝庫「クスコ」へ
8月 6日(木)
謎の空中都市「マチュピチュ」へ
8月 7日(金)
ナスカの地上絵見学
8月 8日(土)
サンパウロ市へ
8月 9日(日)
島根県人会交流センターの竣工式
8月10日(月)
リオデジャネイロへ

8月5日(水)インカ族の歴史、文化の宝庫「クスコ」へ

石造りの建物と美しい石畳の街クスコ
石造りの建物と美しい石畳の街クスコ
 早朝にホテルを出発し、次の目的地クスコに向かった。リマからコンチネント航空で約1時間位である。クスコの街に入ると最初に目にするのが「マンコカパック(男の子)とママオクリョ(女の子)の記念碑(場所:リマクパンパ広場)である。この碑は、インカ帝国の建設地を教えたとの物語の主人公である太陽の子と月の娘の胸像レリーフで、クスコの街を印象づけるモニュメントである。クスコはどこに行ってもインカ族の歴史、文化を肌身を通して感じとれる街、正に街全体が文化遺産といった感じのである。また、標高は3,360m、日本の富士山( 3,776m)に近い高地都市でもある。

 インカ族の歴史をたどってみると、インカ族はアンデス地方(高地)に起源を発した。13世紀初頭の頃、クスコの谷にその墟を構え、勢力を広げていった。15世紀の中頃には、最大の敵チャンカ族を負かし、近隣諸部族を征服しながら、アンデス地帯最強の帝国を形成した。第11代皇帝ワイナ・カパックは、エクアドルにもう一つの都市を作ろうとしたが病に倒れ、息子ワスカルが12代の皇帝に代わった。

 しかし、ワスカルは、アクワルパーの一派との内部対立から内戦に発展し、帝国全土が混沌となった。そこに、フランシスコ・ピサロの率いるスペイン人の攻撃によってインカ帝国は崩壊してしまったようだ。

店頭で鞄を作る店主
店頭で鞄を作る店主
 「クスコ」では、アルマス広場、サン・ドミンゴ教会、コリカンチャ(太陽の宮殿)、サクサイワマンの遺跡などを見学して回った。巨大で精巧な石造建築は、その技術、スケール等すべてが見る者を圧倒する。16世紀ここを征服したスペイン人は街の数々の神殿を破壊し、その上に教会を建てた。しかし、その後何回かの地震で建物は崩した。でもインカの石組みだけは全くびくともしなかったといわれる。また、街並みもほとんどが石造りの建物、道路はすべて石畳で残っている。その中を昔ながらの民族衣装に身を包んだインディオたちが、アルパカ(ラクダ科の蓄養種)を引き連れて物を売り歩く姿が見られる。街角では、豚の丸焼きを売る老婆、野菜・果物等を売る婦人など、まったくのタイム・ラグを感じさせる街である。

何よりも、クスコは安全な街で市民も観光慣れしている。「一人でどこに行っても心配のない街」というのも一層親しみを感じさせる。しかし、急にクスコの街に入った我々を苦しめたのが高山病であった。これはリマからクスコ(標高3,360m)まで飛行機で一挙に飛び上ったのが禍いしているらしい。全く経験したことのないような頭痛、吐き気など、どうすることもできない「病気でない病気」で苦しんだ。これも忘れがたい南米旅行の貴重な思い出であった。
夜は、ケーナやサンポーニア(どれも竹笛)、ボンボ等を奏でながらのアンデス民謡を聞きながらの夕食であったが、高山病のたたりで食欲は一向に湧いて来なかった。

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