中国江南への旅

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〔玉佛寺〕 第4日
玉佛寺内にある黄金の佛像
玉佛寺内にある黄金の佛像
 最終日の午前中は、玉佛寺の観光に出かけた。玉佛寺は、市街地の中心部にある禅宗の寺院である。天王殿、大雄宝殿、臥佛堂、玉佛堂がある。

 玉佛は、清朝末期の僧「慧根」(ホイゲン)がビルマから持ち帰ったものである。

 玉佛座像は、高さ 190cm、翡翠(ひすい)、めのうなどの宝石で飾られている。玉佛像は優しく微笑みかける少女のように美しい佛像である。

 玉佛寺の観光を終わった頃から少しずつ雨が降りだした。清々しい雨に包まれながら、江南の地に別れを告げ上海空港へと向かった。


〔雑感〕
 蘇州、無錫は歴史の古い都市であり、一方、上海は歴史は浅いが急速に発展してきた新出の経済都市かつ国際都市である。

楠木の並木の中を走る車と自転車
楠木の並木の中を走る車と自転車
 道路は全般的に想像以上に整備されていると思った。街路樹(楠木)の大きさをみて街区整備の歴史がわかるといわれる。ただし、交通信号機はほとんどと云っていいほど設置されていない。この中を朝夕、通勤者など大量の自転車が車道を共有して走っている。バスの中からみても、怖くて仕方がない。中国では、まだまだ自転車は主要な交通手段で、通勤者などは朝夕の通勤時と昼食の帰宅時(中国では、たいがい昼食を自宅で摂る)の1日2往復は自転車で走る。これが中国人の健康の秘訣だそうだ。このように、自転車やリヤカーが市民の交通手段だから、街のいたるところにパンク修理屋がいる、これで結構商売になっているようである。

路上の自転車修理屋さん
路上の自転車修理屋さん
 中国では、自家用車はまだまだ高嶺の花のようである。これは、 150%の関税がかかるので国民の所得からすると車の購入はたいへんなことである。また、別の考え方からすると、今の交通事情では車の運転は無理なことであるのかもしれない。

 住宅については、土地は国家のもの、したがって借地権(70年)を設定し自分で家を建てるか、マンションに入居するかのどちらかである。マンションは、市街地で約3千万元(m2あたり)、郊外では2千万元(m2あたり)ということである。一戸建ては13〜14万元、これに内装代7〜8万元が加算される。ちなみに、中国人の平均月収は 1,700元ぐらい(上海)である。したがって、中国人の住宅は質素を旨としなければならないのかもしれない。

 教育は、上海市で小学校 5,000校、中学校 3,000校、高校 3,000校、大学 500校ぐらいである。中国でも有名校はレベルが高く簡単には入学できない。しかし、入学した生徒はほとんど大学まで進学するという。

 中国では、ひとりっ子政策をとっている。ひとりっ子政策の欠点は、わがままっ子になって困るといっていた。田舎に行くと、労働力が不足しているので二人っ子のところもあるという。

 環境問題については、やはりゴミ問題がたいへんではないかと思った。日本のように大量のゴミは発生しないようであるが、高速道路の沿線でクリークがゴミの埋め立て場所に使われているところがある。これで天災等の心配はないものかと心配になる。

 中国の慣習はおもしろい。ほとんど日本と逆とみればよいのかとも思った。陰陽は北が陽で、南が陰。数字は偶数が吉で奇数を嫌う。時計や傘、センスは不吉なもの。食事の際には、お茶を注れてもらうと、「ありがとう」の意を込めてテーブルを叩く。食卓の上に箸を置く際にも、日本では横向きに置くが、中国では縦に置く。

 短い江南四日間の旅行だったが、中国のほんの入り口のところを散見し、概略を知ることができた。中国の添乗員の邵さんにはたいへんお世話になった。紙面を借りて厚くお礼を申しあげたい。

1999年2月  長岡 榮 記

※この旅行記では、ガイドの口頭説明を記録したところも多く、聞き誤りなどがあると思われる点は、お許し願いたい。

 《参考文献》
   ・平凡社『世界大百科事典』
   ・昭文社『エリアガイド』−海外7(上海)より。

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