中国江南への旅

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〔出発〕 第1日
 広島空港から上海までわずか2時間、こうしてみると日本と中国とは実に近い国である。上海空港に到着した頃にはすでに夕闇がせまっており、直ちに専用バスで蘇州へと向かった。


〔蘇州〕 第2日
 古都・蘇州は水の都ともいわれる。上海から84km、人口約90万人という大都市である。市街地は、外城河という運河に囲まれ、紀元前 514年呉王闔閭(ごおう・こうりょ)が周囲23.5kmの城壁を築いたことで有名である。

 また、庭園が多いことでも有名で、蘇州市内に約60カ所の庭園があるといわれる。このうち改築・整備され、観光地として紹介されているのは10カ所ぐらいである。

 昔から「江南の庭園は天下一、蘇州の庭園は天下一」といわれるほど有名である。中国の庭園は一般的にいうと、宮廷の庭園と個人(地主、高級官僚、豪商が造園したもの)の庭園に大別される。蘇州の庭園はこの後者に属するもので、特に精巧、風雅な趣をもっている。

 このように、蘇州は庭園が美しく、日本の金沢市と姉妹縁組をしていることでも有名である。また、街に緑が多く、街路樹は楠木が生い茂り、道路はまるで緑のトンネルのようになっている。夏を涼しく凌ぎやすくする効果があるのかもしれない。

 さきほど、「城」(外城河・城壁)のことに触れたが、一般に「城」というとひとつの建物を想像することが多い。しかし、中国の「城」は市民が生活する場所、すなわち街という区域をいうのであって、城は敵から市民を守るための城壁でもある。こうして見ると、萬里の長城も国を守るための大きな城壁ということになるのかもしれない。


〔虎丘〕
虎丘『雲宕寺』の全景
虎丘『雲宕寺』の全景
雲宕寺 八角形の斜塔
雲宕寺 八角形の斜塔
美しく反り返った屋根
美しく反り返った屋根
 虎丘は、市街地の北西の小高い丘(36m)の上にある。面積は20ヘクタールという。虎丘には蘇州を都とした呉王闔閭の墓地があり、園内には(ハンハンチュアン)、試剣石、千人石、点頭石、剣池、第三泉、雲岩寺塔(通称、虎丘塔という。 961年完成、八角形、七重の塔、高さ 247.5m)などがある。この雲岩寺塔は、ピサの斜塔のように傾いていること(傾き15度)でも有名である。

蛇行した美しい尾根の壁
蛇行した美しい尾根の壁
 また、中国庭園特有の楼閣がたくさんある。中国特有の反り返った楼閣の屋根は蝙蝠(こうもり)を表しているという。日本では、蝙蝠は無気味な動物と思われているが、中国では縁起の良い動物といわれている。


〔留園〕
 留園は、中国四大名園のひとつと言われ、明の嘉靖年間(1522〜66年)に徐時泰の自家庭園として造られたもので、園内の回廊等にはたくさんの墨跡(石に彫刻されたもの)、回廊の花窓(それぞれ異なるデザイン)が目を引く。
 庭園は、中部、東部、西部、北部から成り、それぞれ異なる趣をもっている。主な建造物は、明瑟楼、涵碧山房、聞木穉香軒、五峰仙館、、冠雲峰、又一村などがある。


〔蘇州刺繍総蔽〕
刺繍をする工員さん
刺繍をする工員さん
蘇州は水の都、水路と石橋が美しい
蘇州は水の都、水路と石橋が美しい
 蘇州刺繍は「蘇綉」と呼ばれ、その歴史はかなり古い。繊細で洗練された技法で造り上げられる。特に、表裏が異なる図柄、また色糸の異なる刺繍はまさに刺繍のマジックである。中でも金魚、猫の刺繍が特に有名で、透き通るような尾ひれ、猫の毛の感じが実にうまく描きだされている。


〔寒山寺〕
寒山寺の鐘楼と五重の塔
寒山寺の鐘楼と五重の塔
 寒山寺は、山にあるお寺と思っていたが実は平地の街の真ん中にある。
 唐代の僧、寒山拾得がこの寺にいたことから「寒山寺」の名前が付けられるようになった。もとは「妙利普明塔院」といい 517年に完成したものである。漢詩「月落烏啼霜満天江……」はあまりにも有名である。また、境内にある鐘楼が有名で、楓橋夜泊」にも詠まれている。一突で十年若返るといわれているので、みんなが列をなして打つ順番を待っていた。このほか、大雄宝殿、碑廊、楓風楼がある。


〔盤門〕
水路を巡らした中にある鎧門城
水路を巡らした中にある鎧門城
 市街地の西南にある古い城門のことをいう。紀元前 514年、呉の闔閭がに蘇州城の築城を命じて作らせたという。城の周囲は25.3km、城門は8カ所にある。水路と陸路を巧みに取り入れており、敵兵をおびき寄せておいて門を落とし、敵をまるで瓶の中にはいったスッポンのようにしてしまったという。特に、盤門の前に架かる呉門橋(大きく張り上げた太鼓橋、石段を登って渡る)と瑞光塔が美しい。

 城門前にはたくさんのアンティークの露天商があり、珍しい掘り出し物にあたることもあり、興味をそそられる場所である。


絹織工場の工員さんたちのファッションショー
絹織工場の工員さんたちのファッションショー
〔絹織物工廠〕
 絹織物の直売場もさることながら、まず最初に見せられるのが、工員さんたちによるファッションショーである。あまりの妖艶さにみんな旅の疲れも忘れ、しばらくの間ショーに壷中した。


〔北寺塔〕(バスの中から)
 街の大通りを北に向かって進んでいくと、正面に中国特有の大きな塔が見えてくる。8面(角)、9層、高さ76メートルという。昔は11層の塔であったが1153年に現在の高さに改修された。


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