こんな場合、あなたならどうしますか?

暴力団員と付合いをしている社員が居ることが判明した場合の対応

男性社員の1人が、ある暴力団員と親しく付合いをしていることが判明した。
今のところ、本人の勤務態度は以前と変らないし、その点では問題がないが、本人の私生活上の事柄としてしばらく傍観していてよいのか、あるいは何らかの手を打つべきか迷っている。


1.暴力団はその組織の人的資源としての組員の獲得に虎視耽々としている。
通常、相手が暴力団員と知りながら近づいて行くのは、暴力団やその組員の本性について、無知無関心である場合と、暴力団員としての生き方や物の考え方、奔放な日常生活等に共鳴し親しみを感じて近づいて行く場合とがあります。
一方、暴力団社会での力の消長は、なんと言っても組員の数で決り、また、新しい組員が獲得できない組織は、将来的に組織崩壊の危機にさらされるのが理であるところから、何れの暴力団も新しい組員の獲得に平素から狂奔しているのが実状です。
このような状況下にあるだけに、設問のような場合、暴力団員と付合いをしている社員が、組員として取り込まれてしまう虞れが多分にあります。
また、組員とはしないまでも、当の社員を資金獲得の手段として使嗾するため、抜き差しならない状態に追い込んでしまう危険性もあります。
更には、社員が暴力団員と付合いをしていることが世間に知られれば、会社の信用にも大きな疵がつくことになります。
以上を考えれば、社員の私生活上の問題として傍観していることはできないことになります。当の社員の将来を慮る人生の先輩や友人の立場からしてもしかりと存じます。
ましてや、当の社員が、心情的に暴力団に共鳴して付合いを始めている場合には、一刻の猶予もできないことになります。


2.組員ともなれば、必ず会社に損害を与える。
暴力団組織は、これまでも説明してきましたように、親分子分という擬制の血縁関係で結ばれ、親分に対して子分は絶対服従の関係にあります。
ですから、もし、社員が暴力団組員ともなれば、当然のこととして、会社の立場ではなく、自分が所属した暴力団組織のために行動することになってしまうわけです。
その上、暴力団員となったとたんに、それまで従順であった社員が豹変してしまい、会社に対してことごとく反抗的になり、サボタージュをこととし、手に負えなくなってしまう事例もこれまで数多く見受けられるところです。
また、そうした表顕的な問題以上に深刻なことは、もともと暴力団は不法資金を獲得することを目的とする集団であるところから、組員となった社員を使嗾し、会社あるいは従業員から不法な利益を得るために、種々画策してくることが、過去の実例に徴しても、目に見えているということです。


3.暴力団の絶滅は社会的使命である。
不法な資金源の獲得を求めて社会の到る所に侵出を図り、市民生活に大きな脅威を与えている暴力団は、社会全体の敵として、これが根絶を図ることが、今や、全市民共通の社会的使命となっています。
そのため、全国各地で暴排運動が盛んに展開されていますが、暴力団を根絶させるために最も必要なことは、先ず、彼らの不法資金源と人的資源を断つことです。特に、後継者を育成させないことは緊要な課題といえます。
従って、設問のような場合に、適切な対応策によって社員の暴力団加入を阻止して行くことは、社会的にも意義ある行為であることを自覚すべきです。
「見て見ぬふりは、人の為ならず」という言葉がありますが、設問のような場合に、社員が暴力団社会に転落して行くのを阻止することは、本人のためのみならず、自分を含む会社のためであり、ひいては社会全体のためでもあるわけです。
ただ、現実に、当の社員に注意、助言、説得を行う場合には、どのような手順や方法で行うかを衆知を集め、慎重に検討した上で行うべきことは、理の当然です。


4.設問の社員が女性の場合は強行手段も時には必要である。
過去、暴力団員と付合いを始め深入りした女性で、まともな生活を送った者は居ないといっても過言ではないほど、不幸な結末となっています。
もともと、組織の「掟」に縛られ不法行為をこととしている暴力団員に、まともな生活を求めるべくもありませんが、そうした彼らと付合えば、せいぜい遊びの相手として玩ばれ、果ては、いわゆる「ヒモ」として金儲けのために働かされるのがおちとなります。世間的な結婚生活などあり得ません。
それだけに、女性社員が暴力団員と付合いをしていることが判れば、これこそ速やかな対応が必要です。
男性と違い女性の場合は、男女関係が生じているときには、相手の暴力団員にマインドコントロールされてしまい、通常の判断力を失い、周囲の説得にも容易に耳を貸さないことが多く、その点厄介です。
そうした場合、いかにしてそのマインドコントロールを解くのかが鍵となりますが、時には、警察や弁護士の力を借りるなど、強引な手段をもってしても、暴力団員の実像を理解させて、その暴力団員から絶対的に引き離す方策を講ずることが必要と考えられます。


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