こんな場合、あなたならどうしますか?

勝手に送られてきた出版物の取扱い

政治活動を行っていると自称する、これまで全く面識のない団体から「機関紙を発行することとしたので、購読してほしい」といって、その団体の機関紙が一方的に送られてきた。


1.一方的に送られてきた機関紙の代金の支払義務は生じない
設問のような事例はよくあることですが、その対応措置を誤ると、トラブルの原因となります。適切な対応が求められます。
商品の売買契約は売主と買主の双方の意志が合致して初めて成立するものです。機関紙、雑誌、単行本などを一方的に送付してくる行為は、契約の誘因とみなされ、購読の承諾をしない限り契約は成立しません。
したがって、そのまま放置しておいたとしても、原則として契約は成立しません。たとえ、「○○日以内に返品されないときは、購読を承諾したとみなします。」と銘記されていたとしても同様です。
商法第509条に、「契約の申し込みを受けた時は、遅滞なく諾否の通知を発することを要す。もし通知を怠ったときは、申し込みを承諾したものとみなす。」という規定がありますが、この規定は互いに商取引が続いている際に適用されるものです。
この規定を盾にとって、「返品をしてよこさないのは、購読を承諾したことになる。代金を払え。」と主張してきたとしても問題はありません。見ず知らずの人(団体)から勝手に品物が送付されてきたような場合はこれにあてはまらず、もちろん代金支払の義務は生じないとされています。


2.その機関紙は、一定期間経てば処分してもよい
訪問販売等に関する法律では、販売業者が勝手に商品を送り付けてきた場合、(1)消費者がその商品を使用しないまま14日経った場合、(2)消費者が「買う意思がないから引き取ってほしい」と販売業者に請求したときは、その請求から7日経った場合、販売業者はその商品の返還を請求できないと定められています。
したがって、一方的に送ってきた機関紙は、14日あるいは引き取りの通知をしてから7日経った場合には、その機関紙を自由に処分することができます。
ただし、パンフレット、チラシ類に属さない物は、場合によっては、民法697条の事務管理に問われることもあり得ますので、相手に引き取らせるか、送り返すのがベターです。この場合、後のことを考慮して、その事実を担保する措置を講ずるとともに、その経過を記録しておくことが大切です。


3.念のため内容証明付郵便を出す。
後日の言い掛かりを防ぐために、相手方に対して、(1)買う意思がないので機関紙を引き取ること、(2)引き取らない場合は勝手に処分する旨の通知を内容証明付郵便で出しておくことが有効な措置といえます。 特に、機関紙を一方的に数回にわたって継続的に送付してきた場合には、「黙示の承諾」とみなされるおそれも生じますので、はっきりと断った方が良いと思われます。

まとめ図


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