暴力団ミニ講座

42) 行政対象暴力
 近年、暴力団等の反社会的な勢力が、地方公共団体等の行政機関やその職員に対して、違法または不当な要求を行い、不正な利益を得ようとする動きが顕著になってきています。

 こうした、行政機関やその職員を対象とする違法、不当な要求行為を「行政対象暴力」として捉え、捜査当局においては、全国的に強力な取締を行う一方、そうした被害に合わないよう各行政機関に対する啓発指導が強化されようとしています。

 すなわち、ここでいう「行政対象暴力」とは、“暴力団等(暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、総会屋等 及び社会運動等標ぼうゴロをいう。)又は右翼が、不正な利益を得る目的で、地方公共団体等の行政機関又はその職員を対象として行う違法又は不当な行為をいう”ことと定義をされています。

 こうした、「行政対象暴力」事件の形態は、まさに様々ですが、ごく最近マスコミで報道されたものでは、例えば、


山口組傘下組織組員(56)が、自己の所属する漁業組合が常例検査に際して改善を求められ、改善できない場合は法定解散となる旨を通告されたことに憤慨し、再三にわたり県事務所に押しかけ、対応した職員に対し、検査結果に因縁を付け、県に指導を断念するよう脅迫した事例。
(愛媛、平成21年4月検挙)

山口組傘下組織組員(44)が、軽四輪乗用自動車を保有していたにもかかわらず、これを保有してない旨の虚偽の申告書を提出し、生活保護費を不正に受給した事例。
(奈良、平成21年9月検挙)

などがありますが、これらの事件の形態を大別すると

行政機関の持つ指導監督権限等の発効を促す形態のもの(権限悪用型)
行政機関又はその職員自体を言わば資金源の対象として公金その他の金品を要求する形態のもの(資金源型)

の2つに分けられます。

 それでは、何故、こうした「政治対象暴力」事件が近年増加してきたかと言いますと、一口で言えば、 暴力団等の従来型の資金確保活動が困難となったことに加え、行政に内在する事なかれ主義的体質と弱腰に目を付けてきたことが原因と見なされており、そこでは、行政機関の姿勢や真価が問われる問題も伏在しているわけです。

 何れにしても、こうした「行政対象暴力」は、公務員に係る汚職事案と同様、本来公正、公平であるべき行政の健全性或いは信頼性を揺し、国民に甚大な被害を与えるものであるだけに、こうした「行政対象暴力」に対する行政機関の毅然たる対応と、捜査当局の徹底した取締りが求められています。  


Copyright© 松江地区建設業暴力追放対策協議会, ALL RIGHTS RESERVED.