吉田拓郎&かぐや姫Concert in つま恋

by すだりん

第3章


 【帰路へ】(2006.9.23、pm11時過ぎ)
 JR掛川駅には全国から集まったおじさん、おばさんたちの姿が次々と現れてきます。聖地のつま恋からJRを利用して帰宅する人たちがこの駅に押し寄せたら、どんな状態になるのだろう。思わず想像してしまいました。静岡県で”会議”を終えた(笑)おじさん、おばさんたちが、それぞれの成果を胸に帰っていくんですね。ホームに滑り込んできた浜松行きの列車に乗り、僕も皆もまたそれぞれの生活に戻るんだなと思うと、ちょっとさびしい気持ちに包まれました。このまま時間が止まってほしいよぉ。正直、そんな思いにかられました。
 浜松駅に到着。午後11時半ごろだったと思います。寝台列車にはまだ時間がある。ひとまず駅を出ると、大きなビル群がそびえていました。浜松って結構大きいね。感心していたら、秀グマさんから電話。間もなく浜松駅に到着するとのこと。同駅近くのカプセルホテルに宿泊予定で、お腹をすかしていたため一緒に食事をすることにしました。
 駅前のロータリーでひとまず休憩。喉が渇いてしまって、安来のおじが飲み物を買いに行ってくれました。秀グマさんが着いて合流すると、僕たちだけの打ち上げ会場を探したのですが、駅前の立地ながら、多くの店が次々と閉店時間を迎えてしまいました。行く店、行く店が門前払いです。人口が多い浜松なのに。そうぼやきながら数軒歩いてようやく居酒屋にたどり着くことができました。椅子に腰を降ろすと、心地よい疲労感。急に腰は痛み出すし、足が棒のようになっていました。やっぱ年だわな。
 3人はまず生ビールで乾杯。あぁ、おいしい。朝からきょう一日どれだけのビールを飲んだんだろう。これだけビールを飲んだのは久しぶりだ。尿酸値が気になっていましたが(笑)。でもね、3人で、ささやかながらつま恋の成功を祝って喉に流し込んだビールもおいしかった。年に1回は充実感に溢れるこんな旅をしたいものですね。
 そして、3人はこの日を振り返って、かぐや姫のこれからの活動のことなどについてあれこれと意見交換。やっぱ、これを最後にだけはんしてほしくないという意でに、大方一致しました。今度はどんな形で復活してくれますでしょうか。そんな話をしながら、サラダ類やつまみ、お茶漬けに舌鼓を打って、僕は焼酎の水割りでほろ酔い気分。至福のひと時でしたね。最高!
 寝台列車の発車まで30分と迫ったため、お開き。秀グマさんと再会を約束して別れ、安来のおじと僕は駅に向かい、サンライズ出雲号に乗車。安来駅で降りる安来のおじとは、一応お別れのあいさつ。個室寝台に乗り込むと爆睡。そしてすっきりした目覚めで、午前9時過ぎに松江駅に降り立ちました。ん? そこにどこかで見かけた顔が。しばらく考えて、そう、松江駅にサンライズ出雲号に乗るときにいた親子連れでした。手にはつま恋の買い物袋を握り締めています。あの親子はつま恋に行ったんですね。改札口では、ご主人がお出迎えでした。これは想像ですが、もしかしたらご主人も拓郎ファンで、仕事で行けずに、同じファンの奥さんと娘さんをつま恋に送り込んだのではなかったでしょうか。つい親しみを覚えて、母親に声をかけました。「拓郎さんのファンですか?」。すると「そうです」。「お疲れ様でした」。
 いやぁ、良い旅でした。この一言に尽きます。
 ありがとう、かぐや姫の3人、拓郎さん、そしてスタッフの皆さん。また、10年後くらいにつま恋で!

本編終わり
<本編とは直接ない番外編を近いうちにアップします>
 
 【終演後…】(2006.9.23、pm9時過ぎ)
 <コンサートそのものの感想は、コンサートレポートで紹介していますので割愛します。ご了承くださいね。ここからは「つま恋からの旅」(笑)です>

 アンコールに入る前に、安来のおじから「帰りの電車の時間が気になるし、間に合わないといけないから早めに出ましょう」と提案あり。寝台列車は浜松駅を午前1時過ぎに発車します。もうここまで参加できれば十分満足です。「了解です」と荷造りをしながら、かぐや姫のアンコール曲「神田川」を聴きました。こうせつさんたちがステージを去るやいなや、リュックを背負って退場。拓郎さんの「聖なる場所に祝福を」に耳を傾けながら、てくてくとメーン会場を後にしました。たくさんのエネルギーをもらった感じで、疲労感などはどこに。なんとなく、朝まで見られそうな(笑)。
 ほぼ同時に、ほかにも多くの人たちが会場を出始めました。
 途中、この日にお会いしようと言いながら、お会いできなかった人たちが気になって、歩きながら、カズさんたちに一足お先に帰路につくことを携帯で電話。そうそう、岡本おさみさんにも連絡しなくちゃ。岡本さんは僕たちより早く既に退場の様子でした。後で分かったことですが、安来のおじが岡本さんにお会いする機会があって聞いたところによると、関係者の打ち上げに参加するため早めに会場に向かってほしいという要請で、僕が電話をしたときにはちょうど引き揚げるところだったようです。岡本さんも娘さんと2人で「出席」。聖なる場所の「つま恋」と、すばらしい作品を提供していただいた岡本さんにも祝福を!!
 出口付近では地元の土産コーナーのサービスもありました。素晴らしい心遣いに感心しました。そういえば特産品を買っていなかったことに気づいたのですが、今回の目的はコンサートと割り切って、掛川駅まで運んでもらうシャトルバス乗り場まで一直線。入場の時のような長蛇の列を目の当たりにして、バス乗り場の待ち時間も気になりましたが、広い敷地にすごい数のバスが待機しており、しかも幸運にも最初の方のバスに2人がぎりぎり乗車できました。バスに乗車していたのは10分か15分でしたかな。おじさんたちは疲れた顔も見せずにバスに揺られて掛川駅に。皆さん、さようなら、またいつか会いましょう!と心で叫びました。
  

 【開演】(2006.9.23、pm1時ごろ)
 スピーカーからサウンドが響いた。会場一帯に、歓喜のどよめきが沸き起こった。吉田拓郎さんの「フォーエバー・ヤング」だ。周りのファンが総立ちになったため、本番が始まったと分かった。人垣の隙間から見える遠くのステージ横にあるスクリーンに目をやると、パンダさん、こうせつさん、正やんのアップの顔が笑顔に満ちている。あぁ、来てよかったとあらためて実感した瞬間だった。
 パンダさんがステージを走り回る姿があった。「無理しないといいけど。でも張り切っているんだろうな」。なんて考えながら、オープニングにふさわしい「フォーエバー…」を口ずさんだ。
 続いて、拓郎さんのステージに。しばらく立って手拍子をしていたけど、30分もすると腰痛が激しくなってきた。「こりゃ、8時間ももたいぞ」と思い、知らない曲になると座って体を休めた。1曲分座っていると、今度はお尻が痛くてたまらない。今度は知らない曲でも立ち上がって手拍子する。48歳の体力を確かめながら、世紀のイベントを楽しんだ。
 そして、わがかぐや姫のステージ。「妹」で開幕。瀬尾バンドのバックに押されて、3人が登場した。真っ白な衣装がまぶしく、団塊の世代の代表選手が輝いて見えた。一方で、「かぐや姫に正装は似合わんなぁ」とも思った。やっぱ、ジーパンとTシャツのイメージが脳細胞に焼きついてしまっているのかも。何はともあれ、中学、高校時代に聴きまくったかぐや姫の生の音を、高校生だから、と規制がかかって参加しそびれたつま恋で聴けた幸せを思った。しかも、レコードのアレンジに忠実なサウンドが長年潜んでいた琴線に触れて、「なごり雪」では涙が溢れた。「やっぱ、これだよなぁ」。