第43回審判員研修会に参加した報告
島根県ボート協会 松本健治
期 日 平成8年10月17日(木) 19:00〜 20日(日)14:40
場 所 埼玉県戸田市戸田漕艇場 2,000m コース
宿 舎 三菱戸田スポーツクラブ(三菱養和会)
大会名 第37回全日本新人選手権競漕大会
参加者 A級、B級、C級審判員など約50名。うちB級審判員受験者8名
○概要
B級試験を平行でおこないながら、研修会を実施した。全員を班長、インストラクター(A級、B級)のもとに6〜7名の6班にわけて審判業務にあたり、インストラクターの指導で、各部署の実務をこなしながら学んだ。
今大会は参加クルー、レース数が多く、早朝から夕方まで審判業務があったため、講習やミーティングが少なかった。反面、各部署で担当が多くまわってくるので、貴重な経験が積めた。部署によっては空き時間があるので、他の審判員と情報交換や指導をうけられる時間もあった。軽量級の時なら、レースにも少し余裕があって、ミーティングも多いようだ。そのかわり選手計量が大変そう。
合宿形式で各人が当番で食事作りにあたった。過密スケジュールのため、すべてをこなすのはかなり負担で、過酷な状況であった。
○B級試験の様子
初日の早朝、2時間の筆記試験をおこなう。翌日の朝、その結果を発表。75点以上で合格の場合、実技試験をする。実技試験は、午前中すべての各部署を試験官とまわり1回ずつ業務をおこなう。その後、机上模擬訓練の問答及び面接を約40分おこなう。机上模擬訓練はコース図の上で、「このような場合はどうするか。」の質問に答えていく形式。かなり意地悪な質問ばかりのようだ。筆記試験では国内とFISAの競漕規則の違い等も聞いてくるらしい。
試験官は浅野晴夫(日漕審判長)木村稚夫(国際審判員)石田壽郎(東京都)の3人。机上模擬訓練は木村稚夫。
○各部署ごとの感想
・発艇
発艇をする踊り場が狭いため、思いっきり旗が振り降ろせない。ピンマイクを使うが、有線でコードが邪魔。ウォーターマンが各レーン1人のため、風が吹くと揃えにくく、すぐずれる。担当したときは横風が強くて心配したが、クルーのほうが慣れていて、上手くつけて方向をとっていた。発艇のコールはマイクで話すと無条件に場内にアナウンスされるので、注意が必要。用語を間違えたり、余計なことを話したりするとすぐ審判長席から電話が鳴る。
発艇員以外は目立たないように座っている。救命具は選手が到着申告を受け次第確認する。風が強い時は艇が振られないように注意しながらおこなう。そのクルーがどこの団体か明らかに判っているのに、「到着申告をするように」言うのは見苦しいとされた。同一団体からのクルーが複数重なっても、監督主将会議で注意してあるので、「競漕規則第36条2項適用」とは言わない。
発艇号令はFISAの影響で、ゆっくり間をおいて静かにコールするようにしきりに指導された。それこそ、選手に聞こえないくらいに号令しても、スタートは旗の動きでおこなうから良いとされた。
・線審
線審所は古い建物の中から。フライングがあると赤色灯を付けるスイッチがある。ウォーターマンにイヤホンの無線機を渡し、揃えは選手に聞こえないようにしている。そのため、選手が指示に合わせて漕ぐことが無くなり、揃え易い。スタート前は発艇員の声以外なく静かで盛り上がりに欠けるが、選手は集中し易くなった。白旗は、補助員が窓から手だけだして外壁に垂らし、体を隠すようにする。但しその時、フライングを早く見つけるために艇をみるか、線審員の口をみるか意見が別れた。
フライングがあった時はあらかじめ反対の手に持っていた赤旗をすぐに振る。以前使っていた拡声器はこの時しか使わないが用意しておく。発艇コールは補助員が肩を叩くことで判断する。発艇号令が変わり、間を多くとるようになったので、フライングはまったく無くなった。
・主審
ヤマハの4人乗りカタマランでおこなう。運転も審判員がする。2〜4人乗り、漕跡記録もきっちり書く。今回は3艇でまわす。2,000m10分間隔なので、1艇は1,000m地点まで全速回送(中央か6レーン:回送クルーの状況により判断)し、途中でレースをやり過ごす時は100m前から微速、停止して波を抑え端に寄る。次の発艇までは、500m付近に待機し、まわりのクルーを監視。(この付近が最も接触が多いため)レースが通ってからスタートへ。特に150mからは超微速で動き、発艇所の下へ行く。
レース中の主審艇の付け方は、上がり数を考慮して該当順位のところまで、積極的に付ける。遅いクルーは躊躇せず、ガンガン追い抜いた。それでも離れ過ぎと注意された。舵手の体重制限が変更されたため、デッドウエイトの該当クルーが増えた。ゴール後その確認をし、白旗を挙げてから、判定と連絡をとって艇の計量の該当クルーを指示する。
戸田では特別ルールで自転車と徒歩での伴走が許されていた。
・判定
写真判定機はなく、すべて審判員で判定。タイムは学連の学生がとり、審判員は判定作業のみ。主席判定員が号令とブザーを押す。ブザーは独特の遊びがあり、慣れないと鳴らなかったり、「ぶぅー」と鳴って叱られる。短く「ブッ」と鳴らす。早めに押さないとゴール後に鳴って「遅い」と叱られる。コツは各艇の艇速(種類)を見計らって、ボタンの遊びを考慮して早めに「ゴールする時」に合うように鳴らさなければ成らず、難しい。その他、白旗を主審の動きに合わせて瞬時に挙げる。艇の計量の該当クルーを主審艇にレーンプレートで指示する。ゴール付近の回送クルーを整理するなど。
判定員は判定をとりながら、1位からのレーン番号を控え(このためブザーは左手に持つ)ゴール後、順位をレーン番号順に声を出して他の審判員に確認、すぐに1レーンからの順位に言い換え、声を出して判定用紙に記入する。この時、ボールペンで書き、訂正は許されない。そのあと、すぐに放送が読み上げるので結果発表は早い。(戸田名物、壇上氏)掲示はパソコンで管理して、タイム順やラップが記載される。
・舵手計量
舵手計量はその日最初のレース、2〜1時間前に本部にておこなう。1日に2回レースがあっても最初の1回だけ。
舵手の体重制限が変更されたため、デッドウエイトの該当クルーが増えた。デッドウエイトは巾着袋に石を入れて作る。特に封はしなかったが、袋に番号がふってありレース終了20分後に回収した。
このとき、各クルーのユニフォームをチェック。舵手と漕手が同じ服装になるようにここで指導した。
担当になった日は朝7:30のレースから舵手つきフォアがあったため、4:00起床で朝食後5:00出発、5:30作業開始で長い1日となった。
・艇計量
最終日を除き、全レース1位と2位を艇の計量をした。判定から該当クルーを指示され、それを桟橋まで迎えにいく。該当クルーを確認して国立艇庫の3番入口に誘導、一度艇を置き、レーンプレート、ストロークコーチ(本体のみ配線はそのまま)、救命具をはずす。水蓋をとって中を確認、おもりがある場合はその固定状況と中身を聞く。水を抜いて計量器に載せる。結果は選手にも教える。他のクルーには公表しない。計量の時はシングルスカルの選手を除き、審判員は艇には触らない。蓋もあけてもらい、プレートも外してもらう。資料としてメーカーを記載。新人戦なので新旧様々な艇があり軽い艇も重い艇もあった。ルールが定着して失格クルーはまったくなし。
○全体の感想
B級試験に受かるには、この研修会に数回(2回以上)参加する必要がある。特に、実技は「審判員の心得と号令・動作」を覚えると同時に戸田方式に慣れておかなければならず難しい。また、検査官の3名に好感触を持たれなければ無理。
研修会自体はC級の初心者もいるので、恐れるに足らず。ただ、いきなり順番にレクチャーもなく実務をやらされるので(特に発艇)、用語と動作はきちんと覚えておかねばならない。むずかしい場面(線審、主審、判定)や戸田方式は先任審判が指導してくれるので心配ない。
年寄りが多いので、朝は早く、夜は遅くまで飲み、過密スケジュールなので健康には気をつける必要がある。三菱艇庫はきれいで良かった。
懇親会はすき焼き。地酒2本を持参。他県も多数持ち寄り。日漕理事長をはじめ事務局や理事(広島の武田、杉岡)も駆けつけ賑やかで長かった。
○ミーティングから
ユニフーォムについての質問が相次いだが明確な回答はない。いろいろな解釈(県名、クルー名、コックスの長袖等)があって、判断できないようだった。今のところそれぞれの大会要項によって対処するということで、統一した指導はできなかった。
主審がブイを引っかけることが2件あり、コースの説明があった。ブイは0〜500mまでは縦に入り、500m〜2,000mは横に入っている。ステッキボートは固定台から30m コースに向かって1本のロープでアンカーで固定してある。ブイは25mごと。
今後の国内レースは1,000mと2,000mだけになり、1,500mは無くなる。艇の重量は今の規制から10%ぐらい重くなる。スポンサーの名やマークを規制する方向になっていく。オリンピックに採用された、シグナル式の発艇装置や水没式の装置もいずれ使われるようになる。