【−写真をクリックすると大きな画像が見られます−】

●コロッセオColosseo

殺伐として競技を思い出させるコロッセオ
 コロッセオは、ローマのシンボルとなっている。実に巨大な遺跡建造物(円形競技場)である。西暦72年に工事が始まり、8年の歳月をかけて80年に完成した。直径 188メートル、周囲 527メートル、高さ57メートル、4階建て、収容人員は5〜8万人という石とレンガで築き上げられた巨大な競技場である。

現在は、地震による崩壊と盗石によって荒らされたりしている。かつては、剣闘士と猛獣との殺伐とした戦いが連日のように繰り広げられていたという。だからこの競技場の土はたくさんの人の汗と血を吸い込んでいる悲惨な歴史を持つ遺跡である。このような悲惨な競技がキリスト教の国で行われていたとは全く想像もできない話である。まさに、コロッセオ=“殺ッセオ!”である。

ここも、再び来る機会があるのかどうかと思うと、しっかり見学しておきたかった。三階の観客席の通路を駆け足で一周して回ったが実に大きなものである。どうにか時間ギリギリで集合場所に戻ることができた。

広場では、古代ローマの衣装に身をまとった大道芸人たちが、楽器の演奏をしながら愛敬をふりまいていた。
また、たくさんの露天商がいろいろな品物を並べて観光客を呼び込んでいた。ほふく前進する兵隊人形、革(?)で造った馬の置物...。馬の置物に視線を落とすと、素早く三千円、三千円と売り込んできた。こちらも、ダウン、ダウンと値切ってみると随分安い値段まで下げながら追いかけてきた。帰りの荷物のことを考えると断らざるを得なかった。
悪いことをした。

●コロッセオ周辺(車窓から)
 コロッセオ周辺、西側にはフォロ・ロマーノ、南側にはコンスタンティヌスの凱旋門、宮殿、教会等が集積している。また、地図を見ると、内務省、国防省、観光省、そして市役所など(官庁街)もある。コロッセオの 500mぐらい南西、テベレ川畔にはサンタ・マリア・イン・コスメディン教会があり、その入り口広場には“真実の口”(大理石の大きな口を開いた顔のレリーフ)がある。この場所も、今回は時間の都合で見学できなかった。

●トレビの泉Fontana di Trevi

果たして再び来られるか?
願いを込めて(トレビの泉)
 トレビの泉は、1,762年、法王が催したコンクールで入選した作品で、ニコラ・サルビーノの手になる作品で、数ある噴水の中でいちばん有名な泉(噴水)といわれる。さらに泉の周囲には、海神ネプチューン像を中心に、海神トリトーンの馬車などを型どったバロック時代の傑作が設置されている。

 肩越し(後ろ向きで)に泉に向かってコインを投げ入れると、再びローマに戻ってくることができる。2度投げ入れると恋いが叶い、3度投げ入れるとたいへんなことが・・・?。
ちょうど日曜日であったので、泉の前にはたくさんの観光客、若いカップルたちがコインを投げ入れ、泉に向かってしきりにシャッターを切っていた。

●フォロ・ロマーノForo Romano(車窓から)
 コロッセオに隣接してフォロ・ロマーノがある。この場所も、今回は見学できなかったが、バスの車窓からその一部が見えた。 フォロ・ロマーノは、古代ローマの政治・経済、宗教などの中心地であったという。ここから共和国政治が生まれ、ローマ帝国が誕生した。

紀元前6世紀には下水道も整備されていたという。古代ローマの崩壊とともに広場も荒廃していったが、19世紀以降発掘され、現在の姿までになったという。車の行く手には古い宮殿跡(?)の列柱、水道橋などの一部を遠望できた。
まさに、ローマは遺跡の宝庫である。紀元前から現代までの歴史が街の中に何の違和感もなく美しく調和し古都の風景をつくり上げている。

帰路
ローマでは、もっともっと時間が欲しかった。皆んな、後ろ髪を引かれる思いで空港に向かった。空路は、ローマ 〜 フランクフルト(出国手続き)〜関西空港であった。

機内での時間つぶしにと、ローマの街角で卵形の顔人形(オモチャ)を買った。売り子たちは、実にいろいろな面白い顔を作って見せてくれたが、買ってみるとそんな生易しいものではなかった。でも指先の運動には格好の商品である。

機内で、くだんのオモチャを押したり引っ張ったりしていると、通りかかった美人スチュワーデスさんが、オー・ワンダフル!と相好をくずして見入ってくれた。機内サービス毎に立ち寄ってくれるので、一番面白そうな顔を作って彼女にプレゼントすることとした。 嬉しそうに受け取ってくれた。年甲斐もなく楽しい時間で、機内の苦痛な時間を案外と意識せず過ごすことができた。

以上
1998年11月  長岡 榮 記

《参考資料》
平凡社発行『世界大百科事典』、日地出版『ニューツアーガイド・世界の本 イタリア』、ダイヤモンドビッグ社『地球の歩き方』

恋の国イタリアを往く おわり