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■1998年10月14日(水)■
重文・美保神社70年ぶりの本殿改修終了 24日、遷座祭 20日から多彩な行事 盛大に祝う 重要文化財の美保神社(島根県美保関町美保関、横山直材宮司)で、本殿や拝殿など70年ぶりの改修工事が終わり、神体を仮殿から本殿に移し戻す「本殿遷座祭」が10月24日、行われる。これに合わせ20日から10日間、関連神事のほか、神話にちなんだ各種奉納行事があり、地区住民、参拝客らが盛大に遷座を祝う。同祭を間近に控え、主な神事と奉納行事、美保神社の由来などを紹介する。
代表神事、今年は2回 ☆奉祝・諸手船(もろたぶね)神事【25日午前10時】 美保神社の代表神事。大国主命が、美保神社の事代主命に国譲りの相談をするため、使者を船で遣わせた故事を基にした伝統行事。 船出前、体を清めた多数の氏子が神社拝殿に集合。神職がくじを引き、船のこぎ手「小擢(こかい)」とかじ取り役の「大櫂(おおかい)」を指名し、2隻の船役9人ずつが決められる。 選ばれた氏子は2隻の諸手船に乗り込み、「ヤアヤア」と威勢よく出発。大国主命を祭る対岸の客人(まろうど)社までこぎ、船中から拝んだ後、岸まで競争する。 毎年12月3日の神事だが、今年だけは奉祝行事と合わせ2度行われる。諸手船は新しく完成した収蔵庫に保管されている。
打楽器と笛 厳かに演奏
現代音楽も彩り添える
地区民120人練り歩く
江戸っ子が三本締め
地方の遷座祭では初
美保神社と遷座祭 美保神社の現在の本殿は江戸時代後期の文化10(1813)年に建立され、農業の守り神「三穂津姫命(ミホツヒメノミコト)」と、大国主命(オオクニヌシノミコト)の第一の子神「事代主命(コトシロノヌシノミコト)」(えびす)の御二柱をまつる。五穀豊じょう、商売繁盛、海上交通の安全を願う全国の人たちから、広く信仰を集めてきた。 拝殿の奥にある本殿は、「美保造り」と呼ばれる特殊な建築様式で、重要文化財に指定されている。左右に2棟並べた大社造りの神殿を「装束の間」でつなぎ、向かって右側の「左殿」に三穂津姫命を、左側の「右殿」に事代主命をまつる。同神社御造営奉賛会の三代暢実理事は「二柱の神を信仰する人は中国山地はおろか、北海道、鹿児島など全国に及び、美保関は当時、多くの人や船が往来する活気ある町だった」と語る。 今回改修されたのは、本殿と拝殿の一部と、神門、回廊、参道など境内全域。屋根などは70年ぶりに新しくされ、本殿の柱は初めて土台から修復された。また収蔵庫も改築され、権力者や参拝客の奉納物で、国の重要有形民俗文化財の指定を受けた鳴り物846点や、「諸手船(もろたぶね)神事」に使う船などを保管する。改修に伴う総事業費は約12億円。 遷座祭は、改修工事前の平成5年に境内の仮殿に移されていた御霊体を、本殿にお返しする奉祝行事。地元住民は、この機会に神社を広く知ってもらおうと「美保神社御遷座祭実行委員会」(北国恵久委員長、約130人)を結成。4年に拝殿を舞台にして始まった恒例の「恵美須音曲祭」を遷座祭に組み込んで、音楽を奉納するほか、故事に乗っ取った多彩な行事を開く。 北国委員長は「参拝客の方々に、美保神社にまつわる神話と美保関の良さを感じ取ってもらえたら」とPRする。
−10月14日(水)山陰中央新報より転載− |