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1997年7月31日(木)


匠の技「神宝」見事に復元
  奈良の漆芸家  1年がかり丹精込め
佐太神社蔵・竜胆瑞花鳥蝶文扇箱
蒔絵粉にチリ鉱石も  科学分析威力発揮
佐太神社(島根県鹿島町佐陀宮内)の神宝として知られる平安時代の「竜胆瑞花鳥蝶文扇箱(りんどうずいかちょうちょうもんおうぎばこ)」(重要文化財)が、「古代出雲文化展」島根会場(島根県、山陰中央新報社など主催)開催に併せ復元制作された。アタカマイトという日本では例のない蒔絵(まきえ)原料が使われていたことが判明。松江市殿町の県立博物館に展示中で、注目を集めている。
復元したのは奈良市西包永町の漆芸家北村昭斎さん(59)。北村さんは10年前には出雲大社の国宝「秋野鹿蒔絵手箱(あきのしかまきえてばこ)」も復元制作しているベテラン。エックス線写真でオリジナルの材質や製法を調査するとともに緑色の蒔絵粉の成分を分析。その結果、アタカマイトというチリが主産地の鉱物が使われていることが分かった。中国の敦煌壁画などに使われていることは知られているが、日本で蒔絵粉として使われた例はない。

昨年春から1年がかりで復元制作された扇箱は、扇を開いたまま納めることのできる形で、他に例がない。長径34.3センチ、高さ7.4センチ。同扇箱と同時に佐太神社の「彩絵檜扇(ひおうぎ)」も復元され、一緒に展示されている。

北村さんは「木地のヒノキの一枚板入手と蒔絵粉の確定に苦労した」と制作を振り返る。復元スタッフの吉川光子・島根県立博物館学芸員は「科学的な分析や当時の技法を基にした復元。今後も有効活用したい」としている。

扇箱のオリジナルは傷みやすくて全期間展示できないうえ、退色が進んで制作当初の華やかさが失われていることから、今回復元された。


【写真】古代出雲文化展開催を機に復元製作された佐太神社の神宝「竜胆瑞花鳥蝶文扇箱」=松江市殿町の島根県立博物館

−7月31日(木)山陰中央新報より転載−


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