■1997年10月31日(金)■
島根大学生物資源科学部の若月利之教授らが10年間にわたり、西アフリカの各地で取り組んだ水田農業を軸にした農村再生への実証研究の成果などをまとめた「西アフリカ・サバンナの生態環境の修復と農村の再生」(A5判、504ページ=農林統計協会刊)が、財団法人・国際開発高等教育機構(FASID)の第1回国際開発研究・大来賞に選ばれた。西アフリカでは人口増加や森林破壊、土壌劣化による砂漠化の進行から、食料問題や環境問題が深刻化している。このため、農業生産性の停滞を打破し、併せて環境保全を図ることが急務で、日本大学生物資源科学部の廣瀬昌平教授を代表に、若月教授らのプロジェクトチームが、低地利用による肥沃(よく)度持続型の水田農業を含んだ農耕システムの確立、森林環境の再生を目的に、現地農民も参加しての実験を続けてきた。
プロジェクトチームは、過去10年間の取り組みを▽西アフリカにおける地球環境問題と持続的農業の展望▽西アフリカの生態環境▽ギニアサバンナ帯における伝統的農業と作物生産▽ギニアサバンナの人と森林▽中部ナイジェリアにおける牧畜フルベの牧畜活動に関する生態人類学的研究▽生態環境の修復と農村の再生のためのオンファーム実証研究▽サバンナ集水域の環境保全型総合農村開発に向けて−の7章にまとめ、出版した。
大来賞は、多様化する国際開発のニーズに対応し、新たな指針を提示する研究を奨励するため、元外務大臣で同財団の初代評議員会会長の故・大来佐武郎氏の功績を記念して創設。初受賞作品は同書と東大東洋文化研究所の原洋之介教授が著した「開発経済学」(岩波書店刊)の2点が選ばれた。
同書は800部出版、1冊5000円(税込み)。申し込みは東京都目黒区下目黒3−9−13、目黒・炭やビル、農林統計協会出版普及部(電話03・3492・2978)へ。
【写真上】若月利之教授
【写真下】大来賞を受賞した「西アフリカ・サバンナの生態環境の修復と農村の再生」
−10月31日(金)山陰中央新報より転載−