暴力団ミニ講座

41) 大麻
 当講座 30)「覚せい剤」 で説明しておりますように、今、我が国では、覚せい剤をはじめとして大麻、コカイン、ヘロイン、LSD、MDMA、向精神薬、シンナー等の薬物が広く乱用され社会的に大きな問題となっています。

 そうした中、平成13年中、全国の取締当局によって押収されたこれら薬物を種類別に比較してみますと、一番多かったのが乾燥大麻(マリファナ)で、押収量としては過去最高を記録しています。平成17年度中は、大麻樹脂の押収量が大変増加しています。

 特に、平成17年中の大麻樹脂の押収量は平成8年以降では最大となっています。

 また、大麻取締法違反の検挙人員も昨今増加傾向にありますが、特に、平成21年は、平成8年以降では最大となっており、内暴力団組員の検挙人員も平成8年以降では最大となっており、大麻の取引にも暴力団が深く関っていることを窺い知ることができます。

 このように、大麻の乱用が、昨今ますます深刻な様相を呈してきている厳しい情勢に鑑み、この項では大麻について若干の説明をし、大麻事犯の排斥について理解を得たいと存じます。

 大麻とは、アサ科の一年草である大麻草(カンナビス・サティバ・エル)とその製品をいい、大麻取締法で規制されています。

 大麻草の茎は四角形、緑色で浅い縦溝が走り、真直ぐに延びて高さ2〜3メートルにもなります。葉は3〜9枚の小葉が集まっており、その小葉は鋸の歯状に切りこみ、先端は尖っています。

 夏には花が咲き、日本でもいたるところで自生していますが、世界にも広く分布しており、大麻草の主産地はメキシコ、コロンビア、ジャマイカ等となっています。

 大麻草は、植物体表面の有柄腺毛内から樹脂を分泌しますが、その樹脂に麻薬成分が含まれており、特に、雌雄花房の葉、苞葉、花や未熟果を包む部分から多量に分泌されるといわれています。

 ただし、大麻草の成熟した茎、種子及びその製品(麻布、麻ロープ等)には麻薬成分は含まれていないため、大麻取締法の適用を受けません。大麻の種子は、通称「アサの実」、「苧の実」と呼ばれ、小鳥の餌や香辛料(七味唐辛子)等にも使用されています。

 規制される大麻製品の主なものとしては、乾燥大麻、大麻樹脂等がありますが、地域(国)によって名称、製法、乱用方法等が異っています。それを大別すると次のようになっています。

◎製品の形状としては3つに大別されます。

  1. 葉や花穂を乾燥し粉砕したもの(乾燥大麻)
    通称 マリファナ
  2. 葉や花穂を樹脂で固めたもの(大麻樹脂)
    通称 ハシッシュ、ガンシャ、チャラス、チョコ
  3. 樹脂分のみの油状のもの(液体樹脂)
    通称 ハシッシュオイル
◎乱用方法も3つに大別されます。
  1. 煙を吸う方法
  2. そのまま食べる方法
  3. 溶液として飲む方法


 また、大麻の成分は カンナビノイド アルカロイド ステロイド トリテルペンの4つに大別され、大麻の幻覚物質の本体だといわれているのは、カンナビノイドに属するテトラヒドカンナビール(THC)といわれる物質です。

 更に、大麻の薬理作用としては、気分が快活、陽気になったり、饒舌となったりしますが、一般にその作用は個人の性格、大麻摂取時の環境や気分、あるいは期待等によって著しく影響され、抑うつ、不安、恐怖に耐えられなくなったりすることもあるといわれています。

 身体的な作用としては、頻脈、頻尿、震え、口渇、血糖上昇、結膜炎等がみられ、更に重要なことは、LSDなど幻覚物質の作用に類似した精神異常誘発作用、即ち触覚、聴覚、味覚、視覚等が異常になったり、時間、空間に関する正常な感覚が失われ判断力、思考力にも障害が現われてくるといわれており、中毒ともなると幻覚、妄想等に襲われ、狂乱状態から暴力的、挑発的な行為を行うこともあります。

 ときに、大麻の薬理作用は煙草の害よりも軽いとかという説も流布されていますが、それはとんでもない誤解です。

 それでは、最近の大麻事犯の特徴はどのようになっているかといいますと、1つには次表のとおり大麻事犯による検挙人員(平成18年)、乾燥大麻の押収量(平成13年)、大麻樹脂の押収量(平成16年)ともに過去最高を記録するなど、大麻乱用が拡大していること、2つには、青少年(30歳未満)を中心に乱用が顕著になっており、特に少年や学生の間に乱用が拡がっていること、3つには、来日外国人による大量押収事犯が増加していること、4つには、暴力団が不法資金源の1つとして、大麻の取り引きにも組織的に大きく関わっていることなどが指摘されています。

 大麻事犯の撲滅についても、期するところ暴力団の撲滅こそがなによりも肝心であることを物語っています。

 更に、17年、18年と、押収量が減少しましたが、逆に平成19年は、対前年比203.6kg増と大幅に増加しました。それでも、これら押収された覚せい剤は、実際に密輸されている覚せい剤の10分の1から20分の1に過ぎないとも言われています。

 又、平成19年は、覚せい剤事犯によって検挙された暴力団構成員が、6,358人と対前年比で282増と大幅に増加しました。これは、覚せい剤事犯による全検挙人員数12,010人の52.9%を占めています。

大麻事犯検挙・押収状況の推移

年別(平成)

区分
11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年
検挙人員 1,124 1,151 1,450 1,748 2,032 2,209 1,941 2,289 2,272 2,758 2,931
  暴力団(人) 253 242 327 381 515 530 602 737 663 856 871
同上比(%) 22.5 21.0 22.6 21.8 25.3 24.0 31.0 32.2 29.2 31.0 29.7
押収(kg) 大麻樹脂 199.9 183.4 72.8 244.1 267.0 294.5 230.5 96.7 20.2 33.1 17.2
乾燥大麻 552.1 306.4 818.7 224.3 537.2 606.6 643.1 225.8 436.5 375.1 195.1

年令別検挙人員

年令

年別
20歳未満 20〜29歳 30〜39歳 40〜49歳 50歳以上
平成21年 214 1,586 806 238 87
  構成比(%) 7.3 54.1 27.5 8.1 3.0
平成20年 227 1,503 677 269 82
  構成比(%) 8.2 54.5 24.5 9.8 3.0
平成19年 179 1,392 452 179 70
  構成比(%) 7.9 61.3 19.9 7.9 3.1
平成18年 187 1,340 507 187 68
  構成比(%) 8.2 58.5 22.1 8.2 3.0
平成17年 174 1,107 452 159 49
  構成比(%) 9.0 57.0 23.3 8.2 2.5
平成16年 221 1,281 455 182 70
  構成比(%) 10.0 58.0 20.6 8.2 3.2
平成15年 185 1,189 452 148 58
  構成比(%) 9.1 58.5 22.2 7.3 2.9
平成14年 190 963 401 135 59
  構成比(%) 10.9 55.1 22.9 7.7 3.4
平成13年 176 765 358 110 41
  構成比(%) 12.1 52.8 24.7 7.6 2.8

年別乾燥大麻押収量(上位)
順位 押収年 押収量(kg)
1 平成13年 818.7
2 平成17年 643.1
3 平成5年 606.9
4 平成16年 606.6
5 平成11年 552.1
  年別大麻樹脂押収量(上位)
順位 押収年 押収量(kg)
1 平成16年 294.5
2 平成15年 267.0
3 平成14年 244.1
4 平成17年 230.5
5 平成10年 205.8


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