暴力団ミニ講座

16) 代紋
暴力団は、その組織の統制と団結のシンボルとして、「代紋」と称する紋章を作定しています。この「代紋」は、代々その暴力団組織が受け継いで行く点では、一般の「家紋」と類似しています。

この「代紋」は、組織の大小を問わず、全国の暴力団のほとんどが独自のものを作定し使用しています。このように、暴力団社会で「代紋」を作定し使用しはじめたのは、明治時代初期以降のことといわれています。組織の統制と団結のシンボルとして、極めて有効であり、また、他の組織との識別が容易にできることなどから、こうした慣習ができあがったものと認められます。
この「代紋」に関する慣行として、関東では、先代親分の「代紋」はあくまでも先代限りとし、新親分は新しく「代紋」を掲げることが多かったのに対し、関西では、跡目相続者が組織とともに「代紋」を引き継ぐ傾向にありました。ただし、現在ではこうした関東、関西で異なっていた特徴的傾向もなくなり、有力な組織では、代々「代紋」を引き継いで行く傾向にあるようです。
なお、暴力団の親分は、組織とその縄張りの支配者であり、かつその組織のシンボルでありますから、「代紋頭(だいもんがしら)」と呼ぶことがあります。
また、暴力団社会で、「代紋をかつぐ」といえば、その組織に所属していることを意味し、「代紋が重たい」といえば、組織に属していることが重荷であることを意味しています。

ところで、暴力団は市民生活に様々な形で介入し、不法な資金の獲得に血眼になっていますが、彼らは、「一匹狼では相手にされない。脅しても効果がない」ということをよく知っていますので、常に「集団の威力」を背景として活動しています。それも、世間によく知られ、怖れられている暴力団であればあるほど集団の威力も増し、容易に目的を達することにつながるわけで、現在、広域暴力団といわれる有力な暴力団が、中小暴力団を傘下に収め、有力暴力団のか占化傾向が進んでいる理由の1つもその辺にあります。
このような情勢の中で、個々の暴力団員は、組織のシンボルである「代紋」を名刺に印刷し、バッチとして衣服に付けるなどして、集団の威力を誇示するためにフルに悪用しています。

●代紋の例

五代目山口組 稲川会 住吉会 二代目工藤連合
草野一家


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