暴力団ミニ講座

5) 縄張り
「縄張り」とは、暴力団が正当な権利を持っているわけでもないのに、他の暴力団組織が活動することを拒否し、自己の権利として主張している勢力範囲のことです。
暴対法第9条第1項第4号では、暴力団の縄張りの意義を、「正当な権限がないのにもかかわらず、自己の権益の対象範囲として設定していると認められる区域をいう。」と定義づけています。
もともと博徒は、一家の支配する地域内を「シマ」とか「火場所」あるいは「費場所」等と称し、その一家の親分(総長)は自己のシマ内で賭場の支配権を総括し、「テラ銭」等の利益を収得していました。
親分(総長)は、さらに身内の各貸元親分に賭場の支配権を分与し、随時「盆」を開かせてテラ銭等の収納にあたらせていました。
これによって得た利益は、各組員にその階級に応じて分配したり、組織の維持費にあてられ、このシマはその一家の専有するものとして、他団体の侵害は絶対に許しませんでした。
的屋(または香具師)は、博徒のシマに対比する縄張りを「庭場」と呼んでいました。すなわち、的屋は一定の地域を自己の庭場と称し、その地域で営業しようとする一般露店商に対し、かってに営業権を与え、その権利金として「ショバ代」「ゴミ銭」「ツタ銭」等の名目で、金員を収奪していました。
こうした博徒のシマと的屋の庭場は、もともとその性格を異にしていたため、同一の地域内での両者の縄張りが併存していることもあったのですが、暴力団の資金源が多様化し、一家一業体制が崩れたことから、そうした縄張りの併存状態はなくなってきています。ただし、この縄張りの概念そのものはあくまでも維持されているわけです。
こうした、暴力団の縄張り意識には、要するに、一定の土地とその区域内において、その集団が独占的、恣意的に支配する権利と、さらにその内外を明確に区分する境界の意識の3つが含まれているわけです。
縄張りは、その暴力団にとっての独占的「家産」であり、かつ生活の源泉であって、その縄張り内からあがる収益によって組織を維持し、組員の生活を支える基本的な生活手段となっているわけです。
縄張りが広がれば、その集団は経済的に恵まれるばかりでなく、親分の暴力団社会における権威が上がり、同時に子分の地位も上昇し、より安定したものになることから、暴力団は常に縄張りの拡大に努めることになります。
反対に自己の縄張りに侵入し、これを奪取しようとする動きに対しては、「ヤクザの死守(しもり)」といって、集団の全組織を投入してこれを守ろうとするわけです。
暴力団による対立抗争の原因は、現象的にみると、単純な口論やけんか等から始まっているケースでも、その奥には、彼らの生活の根源としての縄張り、その具体的形態として個々の資金源の問題が関係している場合がほとんどです。


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